私の場合、60才で定年退職し、継続雇用制度によりその年(2016年)の4月から子会社で5ヶ月働いて8月に退職しました。退職した直後(2016年9月)は、これからどういった手続きを何時すればよいのか不安になりました。また、退職直後は税金等の支出が多いと聞いていましたので金銭面での不安もありました。
→ 継続雇用制度の詳細は、パンフレット『高年齢者雇用安定法ガイドブック』の4ページを見て下さい。
退職前に、会社から退職後の手続きの説明と資料をいただきましたが、その資料に書いてある説明は、いろいろな人のケースについて書かれていて、自分がどのケースに当てはまるのか分かりづらいですね。
退職後、2年間に行った手続きと支出をまとめました。人により手続きの内容は違うと思いますが、共通する内容については参考になると思います。
退職後1ヶ月以内の手続きと支出
退職後14日以内と20日以内の期限が設定されている手続きがあります。
一番短い14日以内の手続きは、妻の年金切替え手続きと国民健康保険の加入手続きです。20日以内の手続きは、会社の健康保険の任意継続手続きです。
→ 任意継続手続きの詳細は全国健康保険協会の『任意継続とは』を見て下さい。
そのため、急いで退職後の健康保険を任意継続にするか国民健康保険にするか決めなければなりません。
→ この記事『退職後の健康保険料50万円も節約! 任意継続より国民健康保険を選んで正解だった』も見て下さい。
退職後 | 支出 (円) | 分 類 | 手続き等内容 |
1日目 | 健康保険 | 会社の健康保険の任意継続申請(後キャンセル) 20日以内会社へ | |
2日目 | 医療保険 | 医療保険を団体契約から個人契約へ変更手続き 会社へ | |
年金(妻) | 妻の年金3号から1号に切替え 14日以内 市役所へ | ||
5日目 | 医療保険 | 会社で加入の団体総合医療保険の脱退手続き書類に記入し郵送 | |
生命保険 | 生命保険を団体契約から個人契約に切替え 会社へ | ||
8日目 | 年金(妻) | 妻の国民年金2年先払い申請書記入し年金事務所へ提出 | |
110,000 | 年金(妻) | 妻の国民年金 9月分から翌年3月分まで一括コンビニ払い11万円 | |
失業保険 | 会社から退職証明書と離職票が郵送されてきた | ||
9日目 | 失業保険 | 失業給付延長申請にハローワークへ行くも書類不足 | |
健康保険 | 会社に任意継続申請書一時停止を電話で依頼した | ||
12日目 | 健康保険 | 国民健康保険加入 14日以内 市役所へ | |
13日目 | 健康保険 | 会社の健康保険の任意継続申請をキャンセル | |
26日目 | 失業保険 | 失業給付延長申請完了 ハローワーク | |
支出合計 | 110,000 |
1 健康保険
退職時に健康保険証を会社に返却しますので、退職直後は健康保険に未加入となります。病院へ行くと診療費は実費払いとなり、後で精算されるとしても精神的によくありません。
ところが、健康保険は、会社の健康保険の任意継続にするか、国民健康保険に新たに加入するか選択しなければなりません。どちらにするか非常に悩みました。一般的には任意継続の方が保険料が安いと聞いていましたので、とりあえず、退職後1日目(2016年9月1日)に任意継続の申請書に必要事項を記入して会社の健康保険組合に郵送しました。
その後、国民健康保険でも軽減制度を利用できれば任意継続より安くなることを知り、会社に連絡を入れ、任意継続の申請を保留にしてもらいました。その後、私の場合、軽減制度が利用できることがわかり、加入期限の2日前の退職後12日目に国民健康保険に加入しました。
2 妻の年金
次に、妻の年金を3号から1号に切り替えないといけないらしいので、退職後2日目(2016年9月2日)に市役所へ行き、国民年金の第1号被保険者に加入しました。
→ 国民年金の3号から1号へ切替えの詳細は、日本年金機構の『配偶者が転職・退職したときの手続き』を見て下さい。
3号のときの妻の保険料は私の厚生年金保険から支払われていたので不要でしたが、1号になると妻が60才になるまでの2年7ヶ月の間、保険料を月に16,490円支払うことになります。次の年(2017年)の4月から2年分の保険料をまとめて先払いすると15,640円割引があると聞いて、退職後8日目(2016年9月8日)に年金事務所に出向いて、2年先払いの申請をしました。
→ 国民年金の先払いの詳細は日本年金機構の『国民年金前納割引制度(口座振替 前納)』(最新)を見て下さい。
この日、その年(2016年)の9月から次の年(2017年)の3月までの保険料約110,000円を前払いしました。
3 失業保険
失業保険は、ハローワークで受給期間の延長申請をしました。私の場合、傷病理由のため、通常1年間の受給期間を最長3年間延長できました。
→ ハローワークでの体験記『定年退職後に失業保険!初めての経験でしたが受給できました』も見て下さい。
→ 受給期間の延長申請の詳細は厚生労働省の『離職されたみなさまへ』の4ページを見て下さい。
4 医療保険・生命保険
退職前は、医療保険と生命保険は会社の団体扱いでしたので、保険料が少し割引きされていました。退職後は、個人扱いとなり保険料の団体割引きがなくなり、その分保険料が上がります。この団体扱いから個人扱いへの手続きがありました。
定年退職後2ヶ月目〜12ヶ月目の手続きと支出
退職後、2ヶ月目から12ヶ月目になると、毎月の支払いの負担が大きいです。
市県民税や国民健康保険は、前年の給与所得に対して税額や保険料が決まりますので非常に負担が大きくなります。
退職後 | 支出(円) | 分 類 | 手続き等内容 |
2ヵ月目 | 123,600 | 市県民税 | 市県民税納付 3期目 123,600円 コンビニ支払い |
51,500 | 健康保険 | 国民健康保険 銀行引落し 51,500円 | |
3ヵ月目 | 51,500 | 健康保険 | 国民健康保険 銀行引落し 51,500円 |
4ヵ月目 | 51,500 | 健康保険 | 国民健康保険 銀行引落し 51,500円 |
5ヵ月目 | 122,000 | 市県民税 | 市県民税 4期目 122,000円 コンビニ支払い |
51,500 | 健康保険 | 国民健康保険 銀行引落し 51,500円 | |
6ヵ月目 | 所得税 | 確定申告 e-Taxで申請完了 7万円戻る予定 | |
51,500 | 健康保険 | 国民健康保険 銀行引落し 51,500円 | |
7ヵ月目 | -70,000 | 所得税 | 所得税確定申告による還付金 7万円戻る |
9ヵ月目 | 378,320 | 年金(妻) | 妻の国民年金 4月分から2年分の前払い 378,320円 |
10ヵ月目 | 20,500 | 市県民税 | 市県民税 1期分 20,500円 ペイジー支払い |
28,500 | 健康保険 | 国民健康保険 1期分 28,500円 銀行引落し | |
11ヵ月目 | 27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 2期分 27,900円 銀行引落し |
12ヵ月目 | 27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 3期分 27,900円 銀行引落し |
19,000 | 市県民税 | 市県民税 2期分 19,000円 銀行引落し | |
支出合計 | 935,220 |
この期間は、市県民税が285,100円、国民健康保険料は341,800円、妻の国民年金の2年先払い378,320円をすべて合計すると1,005,220円と100万円を超える支出です。月平均9万円の支出は大きいです。
7ヶ月目(2017年2月)、初めて自分で確定申告をしました。今までは会社が行ってくれていましたので、自分で税務署に申告すると事業者になった気分でした。ネットで申請できるe-Taxが便利ですね。この申告で7万円の所得税が戻ってきました。
→ e-Taxの詳細は、国税庁の『e-Tax 個人で利用の方』を見て下さい。
退職後2年目の手続きと税金等の支出
2年目は、国民健康保険料が206,600円と市県民税38,000円、合計244,600円の支出です。月平均2万円の支出となり、かなり負担は減りました。
退職後 | 支出 (円) | 分 類 | 手続き等内容 |
1年と1ヵ月目 | 27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 4期分 27,900円 銀行引落し |
27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 5期分 27,900円 銀行引落し | |
19,000 | 市県民税 | 市県民税 3期分 19,000円 銀行引落し | |
1年と2ヵ月目 | 27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 6期分 27,900円 銀行引落し |
年金 | 年金請求書類を記入し銀行へ依頼 | ||
1年と3ヵ月目 | 27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 7期分 27,900円 銀行引落し |
1年と4ヵ月目 | 27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 8期分 27,900円 銀行引落し |
19,000 | 市県民税 | 市県民税 4期分 19,000円 銀行引落し | |
1年と5ヵ月目 | 市県民税 | 前年度収入ゼロ申請 市役所へ | |
27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 9期分 27,900円 銀行引落し | |
失業保険 | 失業保険申請手続き ハローワーク 雇用保険受給資格者証 | ||
1年と6ヵ月目 | 健康保険 | 国民健康保険の軽減申請 市役所へ | |
1年と7ヵ月目 | 27,900 | 健康保険 | 国民健康保険 10期分 27,900円 銀行引落し |
健康保険 | 国民健康保険の軽減による納税額変更通知書が届く | ||
-371,600 | 健康保険 | 国民健康保険の軽減により371,600円 市役所から返金 | |
1年と9ヵ月目 | 健康保険 | 国民健康保険納税明細届く 今年度の支払い予定額 | |
1年と10ヵ月目 | 4,300 | 健康保険 | 国民健康保険 1期分 4,300円 銀行引落し |
3,500 | 健康保険 | 国民健康保険 2期分 3,500円 銀行引落し | |
1年と11ヵ月目 | 3,500 | 健康保険 | 国民健康保険 3期分 3,500円 銀行引落し |
2年目の支出合計 | -127,000 |
1 国民健康保険の軽減による還付金
1年と7ヶ月目に、国民健康保険の軽減により、今まで納めた保険料の約2/3の371,600円が市役所から返金されました。この返金は大きいですね、退職後1年目は、国民健康保険料の負担が非常に大きかったので助かりました。
→ 国民健康保険の軽減の詳細は、厚生労働省の『平成22年(2014年)4月から国民健康保険料(税)が軽減されます』を見て下さい。
この軽減は、雇用保険の特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)であることを市役所に証明しないと適用されません。その証明書類はハローワークで失業申請手続きすると発行される雇用保険受給証です。
私の場合、60才定年後に継続雇用により入社した子会社を傷病により5ヶ月間でやむおえず退職しましたが、会社から送られてきた離職票には、なぜか自己都合退職と記されていました。自己都合退職では国民健康保険の軽減は受けられません。
ハローワークで失業保険申請手続き時に診断書を見せて傷病で退職したことを伝えたところ、特定理由離職者として雇用保険受給証を発行していただきました。この後、雇用保険受給証の原本をもって市役所に出向き、国民健康保険の軽減申請が行えました。
→ 特定理由離職者の詳細は、ハローワークインターネットサービスの『特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要』を見て下さい。
→ ハローワークでの体験記『定年退職後に失業保険!初めての経験でしたが受給できました』も見て下さい。
2 市県民税が無税
市県民税は、1年と5ヶ月目(2018年2月)に前年(2017年)に収入がないことを市役所に申請しましたので、2018年の市県民税は無税になりました。
→ この記事『退職後の住民税! 3年目にやっと無税になった』も見て下さい。
まとめ
定年退職後の手続きは1ヶ月目に集中しています。これらの手続きについては、ネット上にわかりやすくまとめたサイトが多くありますので、その情報を参考にすると良いと思います。
手続き上で細かな点でわからない点があれば、元会社の総務か、市役所、年金事務所、ハローワーク等に電話で聞いてみることをおすすめします。私の場合も、あちこちに電話して聞きました。
定年退職後、1年目の税金等の支出が特に多いですが、20年以上雇用保険料を払っている場合、失業給付を150日受給できますので、埋め合わせできると思います。