なぜ、年金は6回に分けて振り込まれると1円足りない?理由は切捨て御免でした

不思議ですね、年金は分割されると少なくなる!?

6月初旬に、日本年金機構から『年金額改定通知書』『年金振込通知書』が届きました。

この2つの通知書を見ていて重大なことに気づきました。

なんと、『年金額改定通知書の年金額』『年金振込通知書の1年間の合計金額』が一致しません。

私の今年度の『年金額改定通知書』と『年金振込通知書』

『年金額改定通知書』『年金振込通知書』は、毎年6月に日本年金機構から年金受給者に郵送されます。ハガキが届き、接着面を剥がすことにより通知書の内容を見ることができます。

1 『年金額改定通知書』

私の今年度もらえる年金額は 2,XXX,650円 (A)です。これは国民年金 763,216円厚生年金の1,XXX,434円の合計です。妻が65歳未満ですので、加給年金388,900円をもらっています。サラリーマンなら家族手当のようなものです。

 

2 『年金振込通知書』

今年の6月から12月(6,8,10,12月)の年金支払額は XXX,274円 (B)翌年の2月の年金支払額は XXX,279円 (C)翌年4月の年金支払額は XXX,274円 (D)です。

1年間の年金支払額の合計は、B x 4 + C + D ですので、XXX,274円 x 4 + XXX,279円 + XXX,274円 = 2,XXX,649円です。

 

3 『年金額改定通知書の年金額』と『年金振込通知書の1年間の合計』が一致しない

私の今年度の通知書では、『年金額改定通知書の年金額『年金振込通知書の1年間の合計が一致しないことがわかりました。年金振込通知書の1年間の合計が1円足りません。

通知書金額一致するか
『年金額改定通知書』2,XXX,650一致しない(年金振込通知書の1年間の合計が1円足りない)
『年金振込通知書の1年間の合計』2,XXX,649

最初、一致しない理由は、日本年金機構の計算処理のミスかと思いましたが、日本年金機構のホームーページのQ&Aに、ズバリ、この理由が回答として書いてありました。

 

日本年金機構のQ&A

日本年金機構のホームページのQ&Aに、『年金額改定通知書の年金額』『年金振込通知書の1年間の合計金額』が一致しない理由が書いてあります。

この回答を要約すると、

(1) 各支払期の年金の支払額は、年金額を6で割って、1円未満の端数が出る場合、端数を切り捨てた金額となる。

(2) 3月から翌年2月までの端数を合計して、翌年2月に加算する。なお、端数合計の1円未満は切り捨てる

となります。お気づきのように、全ての端数計算で切捨てが行われています。

一致しないケースがあるとの日本年金機構の回答ですが、常識的に総額と分割額の合計が一致しないのはおかしいと思います。

回答に納得できませんが、回答に示された端数処理を行うと、どういうケースで一致しないのかを検証したいと思います。

次に実際の例で検証していきます。

 

年金額が6で割り切れる場合(図解)

次の例のように年金額が6で割り切れる場合があります。この場合、各期で端数のない金額が支払われますので、年金額と各期の支払額の合計は一致します。

 

年金額が6で割り切れない場合(図解)

次の例の場合、年金額が6で割り切れません。この場合、日本年金機構のQ&Aの回答の通りに端数を計算します。計算の結果、この年金額の場合、年金額と各期の支払額の合計は一致しません。

3月から翌年2月までの端数の合計は、3.6668円ですが、1円未満を切捨てしますので、3円となります。

この3円を翌年2月に加算します。(この処理は、制度が異なるため国民年金、厚生年金別々に行います)

結果、2023年2月の支払額は101,666円+3円 = 101,669円となります。

2022年度の年金額は610,000円ですが、各期の支払額の合計は609,999円となり1円不足します。

ここで、次のような疑問が生じます。

(1) 端数の合計に、なぜ3月から(4月支払期から)の端数を使用するのでしょうか?普通に考えると、今年度分の6月支払から翌年4月支払までの端数を使うのが理にかなっています。

(2) 端数の合計を、なぜ翌年の2月支払期に加えるのでしょうか?今年度の6月に加えるか、翌年4月に加えた方がわかりやすいですね。

この疑問について年金事務所に聞いてみましたが、明確な回答は得られませんでした。

私の推測では、年金の年度末に行われる会計処理の都合だと考えています。

次の図のように、年度末は3月なので、2月15日に支払った金額までを支出として計上するためなのではないでしょうか。4月15日に支払う金額は次年度の会計に計上されると思われます。

 

私の過去の年金額と各期の支払額合計の不一致

私が過去にもらった通知書を見ると、年金額と各期の支払額の合計は、64歳の時に一致していただけで、63歳と65歳と66歳の通知書では一致していないことがわかりました。63歳と64歳は特別支給の老齢厚生年金です。

年齢年金額 A各期の支払額合計 B差 B-Aコメント
63歳1,XX0,175円1,XX0,174円-1円不足
64歳1,XX3,269円1,XX3,269円0円一致
65歳2,XX8,778円2,XX8,777円-1円不足
66歳2,XX7,650円2,XX7,649円-1円不足

 

私の今年度(66歳)の年金額と各期の支払額合計の不一致(詳細)

私の今年度(66歳)の年金額と各期の支払合計の不一致(1円違い)について、実際に端数計算を行なって確認したいと思います。

1 国民年金の端数処理

私の今年度(66歳)、2022年度の国民年金額は763,216円です。次の図のように、端数処理をすると、2023年2月に加える金額は4円となります。結果、各期の支払額合計は763,216円となり年金額と一致しました。

2 厚生年金の端数処理

私の今年度(66歳)、2022年度の厚生年金額は1,XX4,434円です。次の図のように、端数処理をすると、2023年2月に加える金額は1円となります。結果、各期の支払額合計は1,XX4,433円となり年金額より1円少なくなります。

 

3 国民年金と厚生年金の合計

私の今年度(66歳)、2022年度の国民年金額と厚生年金額の合計は 2,XXX,650円です。国民年金と厚生年金の各期支払額合計は 2,XXX,649円となり、年金額より1円少なくなります。

年金額 A各期支払額合計 B差 B ー A
国民年金763,216円763,216円0円
厚生年金1,XX4,434円1,XX4,433円ー1円
合計2,XXX,650円 2,XXX,649円ー1円

このように、制度が異なるため国民年金、厚生年金、それぞれに対して端数計算をする必要があります。

日本年金機構のQ&Aに記載されている端数処理方法は、国民年金法の第18条に定められています。

と言うことは、日本年金機構が行なっている端数処理方法は合法ということです。

 

国民年金法 (参考)

年金の端数処理については、国民年金法の第十八条に定められています。

内容をまとめると、

・ 年金給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月までの分を支払う。

・ 各支払期の支払額に1円未満の端数が生じたときは切り捨てる。

・ 毎年3月から翌年2月までの間において各支払期の支払時に切捨てた金額の合計額(1円未満の端数が生じたときは切り捨てる)については、これを当該2月の支払期月の年金額に加算する。

 

私の考える年金の分割支払方法

年金を年度内で過不足なく分割支払する方法は簡単です。初回の支払期6月に、以後5回分の支払額の合計を引いた額を支払うだけです。このように国民年金法を改正してほしいと思います。

住民税等は、このように分割納税時、初回の納税額に調整分を入れていますので、初回の納税額が他の納税期より少し多くなっています。

 

まとめ

国民年金法により定められた端数処理により、日本年金機構は年金受給者に各支払期の年金支払額を決定していることがわかりました。

そして、この合法な端数処理により、年金支払額の合計が年金額より1円少なくなるケースがあることがわかりました。

日本で年金が支給されている人は4,000万人ぐらいです。

1人1円、年金支給額が少ないとすると、年間最大4,000万円少なく支給されます。

どう考えても納得できません。国民年金法を改正してほしいですね。

年金額から5回分の支払額を引いた残りを1回支払うようにすれば解決します。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次